いただきます

2023年4月のお寺の掲示板です。

「いただきます」は
いのちを思う時間
生かされていることを
忘れない習慣
      尾角光美

自らの喪失体験を通して、グリーフケアに取り組む「リヴオン」のテルミンこと、尾角光美さんの著書『なくしたものとつながる生き方』より。

新年度を迎えました。
ひとり暮らしをはじめた方、集団生活に入る方、家から誰かが巣立って行かれる、配置転換があったなど、生活環境が変わる時期です。

変化には、夢や希望もありますが、不安や孤独を感じたり、過去を喪失したような感覚におちいることがあります。そんな時でもそうでなくても、大事にしてほしい言葉の習慣が「いただきます」。

老いも若いも、人間は毎日食べることで生かされています。
共にいのちを頂く。食事を囲み分かち合うことが、人間のコミュニティの原点だといいます。
みんなと一緒のときも、ひとりで食べる時も、いただきますを大事に、誰かのいのちを想っていたい。

尾角さんがグリーフケアの活動をはじめることになったきっかけは、10代で経験した親の死でした。自身もうつや、腰痛、不眠など、グリーフからくる心身のさまざまな反応に長年苦しみました。

しかし、その過程で、悲しみと悲しみが出会うと希望になること、人とのつながりの中で生きる力が培われていくことを知ったと言います。

大きな悲しみを経験したあとで、人はどう生きていくことができるのか。そして、傷ついた自分の中に、もう一度力を取り戻すためにはどうあればいいのか。

尾角さんの生き方や言葉に、そのヒントを感じています。